一般社団法人日本チロル友好協会の設立に当たり、一言、ご挨拶申し上げます。本協会は、日本とチロルとの間の相互理解促進のための情報収集および情報提供等の各種活動を通じて、日本とチロルとの間に親密な関係を構築し、もって、日本とチロルとの間の友好関係の増進に資することを目的としております。本協会で申します「チロル」とは、その一部は、オーストリアの西部にあって、北はドイツ・バイエルン州に接し、南はイタリアのトレンティーノ・アルト・アーディジ特別自治州に接し、西はスイスに近接するオーストリアのチロル州をいい、他の一部は現在、イタリアの領土となっている南チロル(イタリア名アルト・アーディジ(ボルツァーノ自治県)をいい、東部アルプスに囲まれた誠に風光明媚で雄大な景観を誇る山岳・高原地域を指します。従来、我が国においては、オーストリアのチロル州は比較的良く知られておりますが、南チロルは余り知られておりませんので、本協会としましては、南チロルに関する情報収集活動及び情報提供活動並びに友好関係の促進活動に特に力を入れて行きたいと考えております。南チロルは、イタリアの地名としてはチロルという名称を用いられておりませんので、我が国では、チロルといえばオーストリアにあるというのが一般的な認識になっているものと思われます。、しかし、元々、南チロルの美しい町メラーン(イタリア語名メラーノ)は、14世紀後半に、ハプスブルク家の家領一部を構成するチロル辺境伯領が成立して以来、同伯領の本拠地として機能してきましたし、同伯領の領域(ドロミテ地域を含む)は、主としてドイツ語を母国話者とする人たちによって築かれてきた独自の歴史、文化、風俗及び習慣等を共有する地域であり、チロル州と一体をなすものですので、本協会の対象地域として外すことができません。ちなみに、南チロルは、第一次世界大戦の結果、オーストリアからイタリアに割譲され、現在に至っております。その経緯もあって、南チロルでは、イタリア語と並びドイツ語が公用語として使用されています。もう一言、付け加えさせていただきますが、本協会には、オーストリア帝国の実質的な最後の皇帝であるフランツ・ヨーゼフ一世の皇妃であり、先に述べたメラーンを愛し、ドロミテ地域の観光化に一役買ったエリザベート(愛称シシー)の足跡を辿り、彼女のありし日を偲ぶシシー・ファンが多数参加しておりますので、彼女に関する研究も併せ、推進して参りたいと考えております。以上、日本チロル友好協会発足にあたり、ご挨拶申し上げ、本協会は、皆様方とともに日本とチロルとの親密な関係を構築して行きたいと考えております。
